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SSBJの二段階開示と6月末の有報

Socious Team

6月末に三つ目が乗ります

3月決算の会社にとって、6月末はもともと二つの期限が重なる日です。有価証券報告書は事業年度経過後3か月以内に提出します(金融商品取引法第24条第1項)。定時株主総会も、3月31日を基準日とする以上、基準日から3か月以内に権利を行使させる必要があるため、6月末までに開きます(会社法第124条第2項)。

2027年3月期から、プライム上場の一部の会社はここに三つ目を乗せます。サステナビリティ情報を、財務諸表と同じ書類に、同じタイミングで載せることになります。

「同時」は原則として書かれています

サステナビリティ開示ユニバーサル基準第67項は、サステナビリティ関連財務開示を関連する財務諸表と同時に報告しなければならない、と定めています。例外は二つだけです。法令に基づいて開示する場合で、その法令が同時報告を禁止しているか、同時に報告しないことを容認しているとき。もう一つは任意適用の場合です(SSBJ)。

この一つ目の例外を使って、日本の制度は二段階開示を認めています。

内閣府令が定めたこと

令和8年内閣府令第5号は2026年2月20日に公布・施行されました。開示府令第19条の9は、金融庁長官が指定する取引所金融商品市場に上場する会社のうち平均時価総額1兆円以上の会社に対し、一般に公正妥当と認められるサステナビリティ情報の作成及び開示に関する基準に従って有価証券報告書等に記載することを義務づけます。同日の告示で、市場は東京証券取引所プライム市場、基準は2026年2月20日までにSSBJが公表した基準と指定されました(金融庁)。

平均時価総額は、対象事業年度の前事業年度の末日とそのさらに前の4事業年度の末日、合計5時点の平均です。2027年3月期なら2022年3月期末から2026年3月期末までの平均になります。上場5事業年度を経過していない会社は、経過した事業年度の末日で平均します(同)。

適用は令和10年3月31日以後に終了する事業年度からです。ただし、2026年3月31日以後に終了する事業年度の末日を基準とした平均時価総額が3兆円以上の会社は、一年早く、令和9年3月31日以後に終了する事業年度から適用されます(同)。金融庁のロードマップの図では、3兆円以上が68社でプライム時価総額の54.1%、1兆円以上が171社で72.5%です(2025年3月末時点のBloombergおよびJPX公表統計から作成、金融庁)。2029年までの並びはSSBJロードマップにまとめています。

経過措置の条文どおりの中身

二段階開示は改正附則第2条第2項にあります。SSBJ基準の適用開始年度とその翌年度については、SSBJ基準に従って記載すべきサステナビリティ関連記載事項を有価証券報告書に記載しないことができます。その場合、当該有価証券報告書の訂正報告書に記載し、それぞれの翌期の半期報告書の提出期限までに提出します(金融庁)。

3月決算で日付にすると、こうなります。2027年3月期の有報は、SSBJ部分を含めずに2027年6月末までに提出します。翌事業年度の中間期は2027年9月30日に終わります。半期報告書は当該期間経過後45日以内の政令で定める期間内に提出します(金融商品取引法第24条の5第1項)。つまり2027年11月中旬です。SSBJの記載は、5か月前に出した書類の訂正報告書として、そこに載ります。

一段階目は空欄になりません

二段階開示を選んでも、6月の有報からサステナビリティの記載が消えるわけではありません。

どの情報を二段階開示にするのかは第二号様式記載上の注意(30)a(c)、SSBJ基準上の経過措置を適用している旨とその根拠規定・内容は同(30)a(d)に記載します。SSBJ基準の適用を受けない従来からのサステナビリティ情報は、同(30)bを踏まえて一段階目に記載することが考えられます。二段階開示の対象は、あくまでSSBJ基準に従って記載すべき事項だからです(金融庁・コメントに対する考え方No.73)。

ここには判断が一つ埋まっています。適用基準第94項の経過措置を使い、初年度に気候関連のリスク及び機会のみを開示する場合、従来開示していた気候以外の情報はSSBJ基準の適用を受けない情報になり、一段階目に残ります。適用2年目にはそれもSSBJ基準に従って記載すべき事項になるため、訂正報告書に移すことができます(同)。

二段階目の値段

訂正報告書の書き方は二通りあります。有報に記載した事項を含め、SSBJ基準により開示することとされている全ての事項を訂正報告書に記載する方法。もう一つは、SSBJ基準に従って記載すべき事項の一部が有報に記載されている旨とその記載箇所を明示し、有報に書いた事項そのものは繰り返さない方法です(適用基準第66項の相互参照、同)。

相互参照には条件が付きます。SSBJ基準に従って有価証券報告書に記載した事項に後発事象が生じていない場合に用いることができる、とされています(同)。これが経過措置の実質的な費用です。6月から11月までは5か月あります。

理由は適用基準にあります。末日後、公表承認日までに、末日現在で存在していた状況の情報を入手したときは開示を更新します(第71項)。末日後に発生した事象も、開示しないことで主要な利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込み得る場合には開示します(第72項)。第70項は、その公表承認日と承認した機関または個人の名称の開示を求めます。二段階開示では、1年目は有報に、2年目は訂正報告書に公表承認日を記載することになると考えられます(金融庁、SSBJ)。

準備期間が5か月増える代わりに、取締役会が承認済みの内容について5か月分の後発事象を見る作業が増えます。

基準側の経過措置は期間が短い

内閣府令ではなく基準の側にも経過措置が三つあります。適用基準第93項は初年度の比較情報の省略を認めます。第94項は初年度に気候関連のリスク及び機会のみの開示を認めます。気候基準第103項(2)は、初年度にScope 3温室効果ガス排出(ファイナンスド・エミッションを含む)を開示しないことを認めます。いずれも適用する旨の開示が必要です(SSBJ)。

期間が揃っていない点に注意してください。二段階開示は2年、気候限定とScope 3省略は初年度のみです。初年度に三つとも使った会社は2年目に大きな山を迎えますし、第一段階の会社にとってその2年目は限定的保証が始まる年でもあります。

これとは別に、開示ガイドラインはScope 3の定量情報にセーフハーバーを置きました。差異が生じる要因や推論過程、社内の開示手続等が一般に合理的と考えられる範囲で具体的に記載されている場合には、虚偽記載等の責任を負わないという考え方です(金融庁)。Scope 3のデータの問題そのものは、これで軽くなりません。動くのは責任の枠組みだけです。

4月から6月のカレンダー

3月決算の第1四半期はもともと詰まっています。決算を締め、決算短信を出し、監査が終わり、総会の日の2週間前までに招集通知を発し(会社法第299条第1項)、総会を開き、6月末に有報を提出します。有報には代表者と最高財務責任者の確認書が付き、その範囲は非財務情報を含む有報全体に及びます。

SSBJ部分を先送りしても、この四半期に二つ増えます。何を二段階開示にするのか、どの経過措置を使うのかを6月の書類に書くこと。そして将来情報とScope 3の定量情報について、推論過程と社内の開示手続を記載することです(金融庁)。その記載をするには、先に手続を整備しておく必要があります。

同じ改正では総会前開示への対応も入りました。総会前に有報を提出する場合、定時株主総会または取締役会の決議事項に係る記載は、自己株式の取得と剰余金の配当に関する事項のみで足ります(同)。同じ四半期に、逆向きの小さな余白ができています。

どちらを選ぶか

二段階開示は選択です。5月に慌てて決めるより、早く決めたほうが安く済みます。

判断を分けるのは、何が詰まっているかです。データはあるのに、レビューと取締役会の承認と執筆が監査と総会のあいだに収まらない会社にとって、5か月は実質的な猶予になります。詰まっているのがデータそのものである場合、11月に延ばしても、その事業年度に回っていなかった収集プロセスは生まれません。初回のSSBJ記載が、半期報告書の45日という別の時計の中に入ってくるだけです。

どちらを選んでも動かないものが一つあります。報告範囲の整理、係数のライブラリ、証跡は、報告対象の事業年度のあいだにしか作れません。経過措置が動かすのは書類の期限だけで、事業年度そのものは動きません。

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